ずっと、一人ぼっちだったあたしの生まれた日
それに、今日…ついに母親にまで捨てられたこの日
それなのに、名前も知らない男の人に
祝ってもらってこんなに嬉しいなんて…
今までずっと我慢していた涙が大量に溢れ出てきた。
「おいっ…!?なんでお前泣き出すんだよ…!
俺は別に怒ってねぇぞ!?」
あたしがいきなり泣き出すもんだから、
さっきまで冷静で無愛想だった彼も慌ててあたしを慰めだした。
「違う、んです…あたし…嬉しい、んです…っ」
「なんだ…嬉し泣きか?」
「は、いっ…。」
「お前に何があったかはしんねぇけど、一人で泣いてねぇでここで泣けよ」
――グイッ
腕を引っぱられて、すっぽりと彼の腕の中にはまってしまった。