俺がヘトヘトになっているのに
気づいた名倉がまたパイプで地面を叩く。

すると、俺に殴りかかっていた奴らが突然手を止めて、俺を中心に円を書くように立ち始めた。


「はぁっ…はぁ…」


俺はその場に座り込んだ。

もう立てない…足に力が入らない。



「お前もそろそろ力尽きたか?」


名倉はそういうと、パイプをジリジリーッと音を立てながら地面に引きづらせて俺に段々と近づく。



やっべぇ……体に力が入んねぇ。



でも、俺は自分の大切な人たちのためなら自分の命なんか惜しくない。


だけど…どうしても心配なのは結実のことだ。

いつも強気なくせに泣き虫で
人のために涙を流すようなそんな心優しいやつ。

俺が死んだ、なんて聞いたらどうなるんだろうな。

きっと、悲しませてしまうことだろう。


頭の中に浮かぶのは笑っている結実の顔。
俺の大好きな顔だ。


最後に結実のことを想って死ねるなら俺は幸せだ。