「…結実にはしんどい思いばっかりさせてしまった。
相島さんに言われてわかった。
私はバカだった。母親失格だわ」
統牙に言われてわかったってどういうこと?
統牙はあたしの家に来てからあまり喋ってない。
不思議に思い、統牙の方を向くと知らんぷりされた。
「…あら?聞いてなかった?」
「あなたがいなくなってからしばらく経ってから
電話が来たの。多分結実がお風呂にでも行ってる時かな?
それで電話で怒る私に彼はこう言ったの。
『おばさん、ただ想ってるだけじゃ何も伝わりませんよ。
ちゃんと自分の想いは
口にしないといつか必ず後悔します』
その言葉が妙に心の中に入ってきて、
自分が間違っていたんだと気づいたの。」
そんな…いつの間に。
統牙はあの日記を見て知っていたんだ。
あたしが愛されていたことも。
だけど、時が来るまで待ってくれていた。
あたしの心が落ち着くまで。



