今になって思い出した。
なんでこんな大切なことを
忘れてしまっていたんだろう。
あたしはこんなに素敵な名前をもらっていたのに。
「ううっ……ぐすっ……」
「だから、あなただけ一人ぼっちじゃない。
もし、仮にお父さんが彼じゃなくてほんとに血の繋がりがなくても私たちは家族で、
結実は私の大切な、大切な娘には代わりない」
お母さんの言葉が心に響いて染みる。
あの日、粉々に破壊されたはずの心が
統牙と出会ったことでだんだん修復されていって
今日、やっと完全に修復された。
「ありがと…っ。あたし…生まれてよかった…」
そう思ったのは生まれて二回目。
統牙と出会った時に一度そう思って、
今、またそう思うことが出来た。
胸を張って家族に言えることが出来る。
そんなふうに出来たのも
あたしをずっと側で支えてくれて、
一番にこんなあたしに無償の愛を注いでくれた、統牙のおかげ。



