「お前は昔から愛されていたんだ」 「何を言ってるの? あたしはこの家の空気だよ? そのあたしが愛されてた?笑わせないでよ」 統牙の笑えない冗談に怒りが湧いてくる。 あたしは統牙の家族とは違って 幸せな家族なんかじゃなかったの。 「見ろよ…これ。 この前この家に来た時に見つけたんだ」 統牙が差し出したのは小さなノート。 「何これ…」 「中…見てみろ」 あたしは統牙にいわれるままに中身を見た。 その中身を読みながら、ポタポタとあたしの涙がノートに灰色のシミを作っていく。