「やめてよ…っ!!
人の前だからって親の顔しないでよ…っ!!!」
そういって、無理やりあの人を突き放す。
何も嬉しくない。
だって、それは本当に愛していないから。
偽りの愛であって、あたしをちっとも愛してくれていないんでしょ?
「結実…、落ち着け」
統牙があたしの手を握る力を優しく強めた。
「なんで…っなんでこんなことするの?
統牙の意地悪っ……」
あたしの無様な姿を見たかったの?
あなたもあたしを愛してくれてなかったの?
この指輪もあの気持ちも全部嘘だったの?
「違う、結実。
お前は勘違いしてる」
「何が?統牙に何がわかるのよ…!!」
何年間も苦しんできたこの家のことが統牙に何がわかるの?
八つ当たりみたいにあたしは泣き叫ぶことしか出来なかった。



