「よかった…っ。無事で…っ」
抱きしめながら声を震えさせて泣いている。
その証拠にあたしの肩が濡れているのを感じる。
心配なんかしてなかったくせに……
普段はあたしのためになんか泣かないくせに…
家族以外の人間がいるときだけ母親ぶって…
「やめてください…」
不意に出た言葉。
だって、あなたとあたしは他人でしょ?
だけど、なかなか泣きついて離れない。
そして、奥から家族みんなが
出てきてあたしの元に駆け寄ってきた。
「結実…!お前はどこに行ってんたんだ!!」
滅多に感情を荒立てることのない
お父さんが涙で声を震えさせながら言った。
なんで…なんでこんな勘違いさせるようなことするの?



