「…」
あたしは何も言えずに固まっていると、
隣にいた統牙が口を開いた。
「相島と申します。
少しお話させてもらえないでしょうか?」
「相島さん…?」
「結実さんのことでお話があります」
きっと、ろくに心配もしていないからすぐに追い払われるよ。
その時のあたしはもう期待することなんてやめていた。
だって、期待するだけ無駄なんだもん。
「…今鍵を開けるから入ってちょうだい」
落ち着いた声でそう言うと、
ガチャ、と鍵が開く音がした。
そして、統牙は震えるあたしの手をさりげなく手に取り、一歩先を歩いてくれる。