「俺はたいして濡れてねぇよ」 自分の着ている服などを見ながら たたんだ傘を扉の横に立てかけた。 そして、ズボンのポケットから 部屋の鍵らしきものを取り出すと、 鍵穴に差し込みガチャリ、と開けた。 「ほら、入れよ」 ぶっきらぼうに言うと、 あたしを部屋の中に招き入れた。 恐る恐る、足を踏み入れた玄関にあるはずの家族の靴は一足もなくて、 あるのは今風の男物の靴が何足かあるだけ。 もしかして、父子家庭だったりする…?