その手は温かくて…心まで溶かしてくれるような…そんな気がしたんだ。
久しぶりに触れた人の温もり。
「泣いてる奴をほっとけるほど俺は腐ってねぇよ」
少し呆れたように言った彼は
再びあたしを傘の中にいれた。
「あなたには関係ないですから…」
あたしとあなたは赤の他人なのにどうしてそこまで引き止めてくれるの?
家族にまで見放されてるあたしを…どうして赤の他人のあなたは引き止めてくれるの?
「こんなところで出会ったのも何かの縁だろうし、
もう話しかけちゃった時点で関係アリだから。」
お気楽そうに言っている彼の表情は夜の暗闇のせいでわからない。
だけど、初めて人にこんなことを言ってもらったような気がする。
それだけでなんだか心があったかくなった。
「…」
「お前、家は?」
何も言わないあたしに彼は質問を投げかけてくる。



