「顔もまだ濡れてるし~。」

「あ゙ッ!顔はいい…‼︎」

あたしの言葉よりも先に、工藤瞬の手は顔を拭いてしまった。

「ごめん…なさい。」

あたしの顔を見た後で、小さく謝ってきた。

「だから顔はいいって言ったのに。」

あたしは鏡を借りて、濡れたタオルで丁寧にメイクを拭きとった。

かなり落ちたな…。

「まぁ、和奈姉はすっぴんでも十分かわいいって。そんなに化粧しなくても全然ダイジョブっす!」

「…。」

なんで、なんで工藤瞬が言うかなぁ…。

思い出してしまうよ…。


篠田くんと、同じ事を言わないで。

あなたがそれを…言わないで。

あたしは黙ったまま、ミルクティーを一気に飲み干そうとしたーーー…。

「熱ッ!」

咄嗟に口をはなしたけど、遅かった。

「…和奈姉ッ⁈」

あたしの目からは、涙…。