水玉模様

歩く度に、ミュールが雨を跳ねていく…。

何だか、だんだん…切なくなってきた。

何やってんの、あたし…。

「和奈姉…?」

「…。」

「和奈姉っ!風邪ひきますって!」

「あ、ごめ…。」

「もぉ~どーしたんすかぁ?」

何故だか歩くのをやめてしまったあたしの手を、工藤瞬が引き寄せた。

「…。」

あたしは、こういうあったかい手が、欲しいのかな…?

立ち止まってる間に、あやね達が少し小さくなっていた…。

周りを見渡すと、みんな足早に歩いているのが目に入って、

「行こっ!」

あたしも、工藤瞬に手を引かれて歩きだした―――…。


―――トンッ…

「あ、すいませ…。」

人混みの中の1人と、軽く肩がぶつかった…。


ぶつかった…。

確かに触れた、体の一部。

そして、その後に触れたのは、お互いの視線…。