水玉模様

浴衣を着なかったのは、暑かったからでも他に理由があった訳でもなくて…デートという設定に反しただけかもしれない。

あやねみたいに張り切ってる、って思われたくもないし。

それに、ちょっとだけ特別なモノの様に思えたんだ。

結局今日のあたしは普通に私服姿で、メイクだけはもちろん完璧にしていた。


「あ、生輝今どこー?え?あたし?瀬口と駅。改札んとこ。」

あやねは、ケータイで生輝くんと連絡をとっていた。

「…わかったよ。はーい。じゃぁね。」

「2人とも、どこだって?」

話し終えたあやねに、2人の居場所を聞いた。

「中央出口のとこにあるコンビニだって。」

「じゃぁ行く?」

「うん!」

駅はだんだんと人が増えてきて、あたし達を歩きにくくする。

中央出口付近まで来ると、食欲をそそる食べ物の匂いーーー屋台からだった。