水玉模様

やっぱりあたし…どう考えても、好きだ。

工藤瞬には、きちんと断らなきゃ。

「もうチャイム鳴るじゃん、俺行くわ。」

「あたしもー。じゃあね、充也。」

「あ!おいっ!瀬口‼︎」

篠田くんについて教室に向かおうとしたあたしを、充也は呼び止めた。

「んー??」

「アイツ、工藤さぁー…。」

キーン…コーン……

「充也ごめんっ、チャイム鳴ったから行くね?」

チャイムが鳴ったと同時に、あたしは充也の言葉を遮った。

だって…。

見つめていたかったーーー。

少しでも―――篠田くんを…。

背中でも、いいから。

手を伸ばせば、今なら簡単に触れられるこの距離で、あたしは切なさと幸せを同時に感じていた。



…あれ?

充也、“工藤”って…言った?

「…。」

ま、いっか。