「初耳!あやねも知らなかったぁ!超ショック!」

そりゃぁ、言ってないし。

「誰なんですか?!」

…なんなんだ、この勢いは。

「何で工藤瞬に言わなきゃいけないの?」

「俺の事、振ったじゃないっすか!」

「…。」

「俺の事、何にも知らないでしょ?振るの早すぎですって‼︎」

いや、だから、あたしは篠田くんの事が…。

「あー、もしかして充也くん?」

「充也?!誰それ?!」

あやねの言葉に、工藤瞬が勢いを増す。

「違うよ、充也はただの連れだから。」

「じゃぁ…!」

じゃぁって…。


「それならこうしません?」

黙ってあたし達のやりとりを見ていた生輝くんが、口をひらいた。

「何よ?生輝。」

「あやねもちゃんと聞いて?」

「…。」

まだ機嫌が直らないあやねは、仕方ないといった風に口を閉じていた。