「…。」

よかった…聞かれてないみたい。

安心したあたしが視線を戻した後、篠田くんの横顔が一瞬あたしの方を向いた事なんて、知る由もなかった…。



「ねぇ、生輝くんは工藤瞬って子知ってる?」

ーーー放課後の教室、あやねを迎えにきた生輝くんに聞いてみた。

生輝くんは、一瞬目を見開いてから口をひらいた。

「知ってるも何も、俺と同じクラスっすよ?てか何で瞬?」

「今日ねー、瀬口その子に告られたんだって!」

「あやねは黙っててよ。」

「えへ♪」

「まぢ…?アイツ…。」

「あ!センパーイ!待っててくれたんですかぁ?」

元気に顔をのぞかせたのは、工藤瞬。

「あ、工藤瞬。」

「瀬口センパイ、もう名前覚えてくれたんですかぁ?」

「……。」

「生輝どうしたの?変な顔して。」

「…瞬のバカ。」

生輝くんは、ぼそっと言ったのだった。