「瀬口和奈センパイ、好きです。付き合って下さい!」

その不意討ちとは、ありふれた告白の言葉だった。

「……。」

お昼休みイキナリ教室まで来て、あたしは中庭に呼び出された。

相手は、1年生。

「名前…何ていうの?」

「あっ!1年1組、工藤瞬(くどうしゅん)っていいます。」

工藤瞬は、ペコリと丁寧におじぎをした。

「…。」

「あれ…?なんにも言ってくれないんですか?」

「あ、ごめん…ね。オナカいっぱいで…。」

「は?オナカ?…あは…あははっ!」

一瞬あっけにとられた工藤瞬だったけど、スグに笑いだした。

別に、ご飯食べた後だから…って意味じゃないんだけどな。

「じゃぁ、放課後また来ます!4組ですよねっ!」

「…えっ?!来るって、ちょっと待…っ!」

工藤瞬は、走り去ってしまった…。


あたしは、オナカいっぱいなんだよ――…。

今は、誰かの気持ちに応えてる余裕なんて、ない。