時は経ち、高2もあとわずかとなった3月ーーー進路調査なども慌ただしく進んでいた。

あたしは大学とかまだよくわかんなくて、とりあえずあやねと同じ大学名を、進路調査の書類に書いて提出した。


充也は賢いから、きっとN大あたり…?

篠田くんは、森さんと一緒だったりするのかな。


まだ高2…?

もう、高2…?

どっちなのかはよくわかんないけど、あと1年で卒業だなんていう実感はなかった。



「ちょっと瀬口ーっ、超うまいんだけど~。」

「あやね、つまみ食いばっかりしないの。」

「だってー。味見だし。」

「何回味見するつもり(笑)?」

「えへへ。」


少し前のことになるけど、去年は1人だったバレンタイン、今年はあやねとブラウニーを作ったんだ。

「早く焼けないかなー。」

「今オーブンに入れたばっかりじゃん。」


この時ばかりは、進路のことなど忘れてーーー大げさなんだけど、解放感でいっぱいだった。


瞬には、あやねと作ったブラウニーと、瞬の好きなR&BのCDをプレゼントした。