「もぉっ、冷やかさないで。体育館行こっ。」

「あッ、瀬口待ってよぉーっ!」

パタパタと足音をたてて、あやねがついてくる。

あやねみたいにストレートに感情を出さないのが、あたし。


「…。」

出さないのか、出せないのか…。

きっと気持ちを隠してるうちに、出せなくなってしまったんだ。

でもこれからは、もっと素直にならなきゃいけない…。

「じゃぁさ、もぉえっちとかしたのー?」

あやねを見てると、少しだけでも見習ってみようと思えるんだ。


「うん…まぁ。」

「いいなぁー。最初の頃のドキドキって、何かいいよねー!今一番イイ時じゃない?」


ドキドキ…か。

「そうかも…てか恥ずかしいじゃん。」

「イイじゃん、ラブラブな証拠なんだから。ねっ。」

「…。」

そう言うとあやねは、可愛らしい笑顔を見せてくれた。


可愛らしいかどうかは置いといて、あたしもあやねにつられて笑顔になっていたーーー…。