「んー?」

「瞬…いいよ。」


瞬に応える覚悟を。

同時に、篠田くんを完全にあたしの中から追い出してしまう、その決意も。


「“いいよ”…って何が?」

あたしは返事をするかわりに、瞬の背中に腕をまわした。

それから、ゆっくりと顔をあげて瞬の目を見た。


「…。」

どちらからともなく、自然と繋がった唇。

「ねぇ…瞬…?」

「…いい…の?」

やっと瞬は状況を理解したみたいで、あたしは小さく頷いたーーー。


瞬は、優しかったーーー…。


どんな風に?って聞かれても、きっとあたしは答えに困ってしまうけど、“優しい”って表現が1番ぴったりだった。


『ずっとこうしたかったんだ。』

オーディオから流れる音楽に混ざって聞こえた、瞬の声…。

お互い指輪だけを身体に残し、瞬は優しくて強い愛情で、何度も抱き締めてくれた。