水玉模様

「それとは違うでしょー!超かわい…あぁッ!ちょっと待ってよー!」

少し冷たくあしらってスタスタと歩くあたしの後ろから、瞬が追いかけてきた。

追い付いた所で、自然と繋がれた…あたしの右手と瞬の左手。


「……。」

大丈夫、離れない。

昨日はあんな事があったせいで、正直あんまり眠れなかった。

だから、瞬と見に行った映画で寝てしまわないか心配だったけど、最近公開されたばかりのアクション映画は思っていたよりもずっと面白くて、あたしは始終のめり込みっぱなしだった。


でも、映画が終わって現実に引き戻されると、あたしの頭の中はこれからの事でいっぱいになった。


そのせいもあったのか、誕生日だからと瞬が連れてってくれたケーキバイキングでは、大好きなはずのケーキも、普段の半分くらいしか食べられなかった。

『そんだけ食べたら充分だよ。』

って、瞬は笑ってたけど。


「ねぇ瞬、この後なんだけど…。」

「あー…。和奈ごめんっ!」