水玉模様

篠田くんは、手に持っていた缶コーヒーを開けた。

「あの1年と、付き合ってるんだね。結構ウワサになってるよ?」

「…そぉ、なんだ。」

「ラブラブそうで良かったじゃん。メールでもしてたの?」

「もう遅いからメールなんかできないよ~。」

「あぁ…そうだね。」


苦笑い?作り笑い?

よくわからない顔をしているんだろう、あたし。

あたしがケータイを見てたのは…篠田くん、あなたからのメールを、見てたんだよ。


コーヒーをゆっくりと口に含み、喉に送っていく…少し斜めに首が傾き、髪の隙間からピアスが見え隠れするーーーあたしは篠田くんの、その何でもない動作を、黙って見ていた…。


コトン―――

缶をテーブルに置く音だけが、喫煙所に響いた。


「…ん。」

「え…っ?」

篠田くんは、ケータイをあたしに向けていた。

意味が、解らない。

「ケータイが…なに?」

解らないまま、あたしは言葉を続けた…。