ドドォ…ォン…!

「…全然気にしてないから、俺。泣く事じゃないって。」

篠田くんがどんな顔してるのか…今のあたしの視界は、それどころじゃなかった。

でも聴こえてくるその声は、とても穏やかだった。

「せっかく花火キレイだし、浴衣も似合ってるし、泣いてたらもったいないよ?あっち行こ?」

「篠田く…。」

篠田くんは、歩きだした…。


涙で濡れた、あたしの手を引いて―――…。


歩く度に、涙が…風の波にさらわれていくーーー…。

そしてーーー還ってくるのは、篠田くんへの…確かな想い。


「たこ焼き食べる?」

「…うん。」

他の見物人に混ざって、ようやく腰をおろしたあたし達。

「はい。」

「ありがと。」

あたしは篠田くんの笑顔に、笑顔で返していたーーー…。

さっきまで繋がれていたあたしの右手には、篠田くんの体温がまだ残ってるみたいで、少し熱っぽい。

そしてーーー。