長い夏休みに入ってから1週間、7月も終わりに近づいていた。

課題も捗(ハカド)らない…。

ヤル気の問題なんだろうけど、あたしはクーラーの効いた部屋で、音楽を聴いたり漫画を読んだりして過ごしていた。


蝉が鳴くーーー…。

鳴いているのか、泣いているのか…。

精一杯、自分の存在をアピールしているみたいだった。


篠田くん、どうしてるかな…。

夏休みを長いと感じているのは、初めてかもしれない。


あたしも、蝉みたいに鳴きたい――…。

想いを込めて…届けたい。

♪♪~♪~♪~~

「…。」

あたしの代わりにケータイが元気よく鳴くーーーあやねか…。

「もしもし、どした?」

「もしもしー。ねー瀬口さぁ、課題順調?」

「全然手ぇつけてないよ。あやねは?」

「あやねも真っ白!」

実は、そろそろあやねから連絡が来る頃だと思っていた。