スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―



勝手にイメージしてたとおり、ライヴハウスの中は薄暗かった。

階段を下りて扉を押して入店しようとしたら、すぐのところにチケットカウンターがあって、そこで当日券を購入するシステムだった。

ワンドリンク付きで4500円。

高いんだろうか、安いんだろうか。


お店の広さは、小学生用のバスケットコートってところ。

天井は案外高い。

壁という壁には、有名ミュージシャンをとらえたものとおぼしき白黒写真が貼ってある。


赤い革張りのソファや椅子、給食のお盆くらいの狭いテーブルが、ちょっと窮屈なくらいの間隔で並んでいる。

席は、すでに前のほうから8割方、埋まっているようだった。


「お席にご案内します。こちらへ」


慇懃無礼を絵に描いたような蝶ネクタイのウェイターさんが、わたしに声をかけた。


「人を探してるんです。ちょっとうろうろしていいですか?」


「まずお席にお着きください。ご案内いたします」


融通の利かん人だな。

前のほうから行儀よく席が埋まってると思ったら、この人の指示があったわけか。

ライヴハウスって、聴いた話によると、もっと無秩序な感じなんじゃないの?

このお店は妙に厳しいしきたりがあるってこと?

老舗って聞いたし。