スウィングしなけりゃときめかない!―教師なワタシと身勝手ホゴシャ―



頭を抱えるわたしの髪を、美香子先生が、よしよしと撫でた。

俊くんが、気まずそうに口を挟む。


「今日、なぎちゃん、謎のイケメンと出会ったんだろ?」


「ノーカウント。保護者さんと知り合っても、出会いのうちに入りません」


「保護者かどうかわからないって、なぎちゃん自身が言ったじゃないか」


「どっちにしても、やなやつだったの。ああいうのは苦手。というか、教育やり直せって感じ。小学校からやり直せ、だよ」


超絶イケメンの音楽関係者で、あまりにも常識外れで、無礼きわまりなかった。

あんな人が近くにいるんじゃ、らみちゃんのことがますます心配でたまらない。


でもなぁ、らみちゃん問題を解決するためには、またあの非常識イケメンと顔を合わせなきゃいけないんだろうな。


「美貌と美声で無理を押し通そうとされたら、どう対処すればいいんだろう?」


口からこぼれた本気の悩みに、俊くんが呆れた顔をして、美香子先生はくすくすと笑った。

あのねぇ、これ、そんな愉快な話題じゃないよ?

ほんとにもう……。