笑い合う2人を見てると、何となく感じることがある。
美香子先生、俊くんのこと気に入ってるみたいだな、って。
もしかしたら、気に入ってる以上の感情なのかな、って。
爽やかイケメンの俊くんはモテる。
昔から女の子のファンには事欠かない。
どっちかっていうと年上キラーだ。
爽やかで人懐っこくて、柴犬っぽいから。
高校に行かずに調理師専門学校に通ってた俊くんは、学校関係なしの街遊びグループに入ってた時期もあって、女の子を含む大勢でわいわいやってるのを目撃したこともある。
最近はどうなんだろ?
お店のことと地域のサッカークラブにしか目を向けてない気がする。
美香子先生のほうが俊くんより5歳上だけど、2人の普段の様子からするに、まあそこまで重大な年齢差には見えない。
だからさ、そこ、くっつけばいいのに。
てか、美香子先生、教員はチャンス少ないんだから、エンジンかけようよ。
と、勝手に悶々と考えを重ねていたら、俊くんに訊かれた。
「なぎちゃん、どうかした? 何か言いたそうな顔してるけど」
「う。顔に出てた?」
「すごくわかりやすかった」
「いや、あの、何ていうか……ストライクゾーンな年齢のお客さんとも接する俊くんとは違って、わたしたち教員は出会いがないよなーって、不意に思い付いてね」



