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思うに、頼利さんは無邪気である。
いたずらっぽくて意地悪なところはあっても、それは表面的な態度だけで、本心は純粋で素直だ。
「楽しけりゃいいだろ」
それは口癖というより、魔法の呪文。
自信たっぷりにその呪文を唱えられると、まあそうだよねと同意せざるを得なくなる。
で、ペースに乗せられて、振り回されてしまうわけで。
振り回されてもいいんだよ、別に。
楽しいし、実利的なとこでは無害だから。
まあ、たまにムカツクんですけど。
夏休みに入った。
わたしたち小学校教諭は、出勤日数の規定があるし、夏の研修なんかも入ってくるけど、世間一般の社会人よりは夏休みが長く取れる。
わたしが休めるこの期間に、頼利さんは旅行を計画してくれた。
アメリカ海軍の駐屯地がある町は、昔からジャズがさかんなんだそうだ。
町を挙げてのジャズのイベントが開かれたり、有名なライヴハウスでビッグネームがライヴをしたりする。
わたしは頼利さんの車の助手席に乗って、その町へ連れてきてもらった。
道中は長いから寝ててもいいって言われたけど、そんなわけにはいかない。
わたしはずっと起きていたけど、苦痛はなかった。
暇つぶしに、と頼利さんが話してくれるジャズのこぼれ話がおもしろかったから。



