立ち上がって微笑んで彼らを見送ったわたしは、その姿が視界から消えた途端、糸が切れたように再びしゃがみ込んだ。
頼利さんが、全部わかっていたかのように、わたしのそばに膝を突いて、わたしの肩に腕を回した。
温かい。
頼もしい。
かすかなコロンの香り。
「らみの前で、よく我慢したな。もう泣いていい。でも、まずは車に乗ってくれ。ここから早く離れよう」
「は、はい……」
ドアを開けてもらって助手席に乗り込むと、抑え込み続けていた涙が、ぼろぼろとあふれ出した。
シートベルトを締めるのがやっとで、ポケットから出したハンカチで顔を覆って、わたしは泣いた。
車が静かに発進する。
頼利さんは何も言わず、音楽もかけずに、ただ車を走らせていた。



