「と、俊くんは……だけど、女の子とも仲がよくて、いつもモテて……駅前のグループでも、女の子、一緒に遊んでたでしょ? わたしと全然違うタイプの子たち、俊くんのまわりにいて」
「遊んでたよ。純粋に、子どもみたいな遊び方でね。ボーリングやってカラオケやってゲーセンで騒いで、それだけ。
おれは誰とも付き合ってなかった。恋愛経験、ないんだ。なぎちゃんのせいで」
「う、嘘……」
「嘘つく必要、どこにある? 物心ついたときから、なぎちゃんのことしか見てなくて、自分でもバカみたいだって思うけど。
どんな子に告白されても、好きじゃないのに付き合う気にもならなかった。おかげで経験ゼロなんてさ、我ながら気持ち悪い」
俊くんが目を伏せて、薄暗く笑った。
「ごめん、俊くん」
そんな顔をさせてごめん。
「もういいや。待つの、疲れた。なぎちゃんが好きだよ。ずっと好きだった。
もうこのへんで、おれを解放してよ。どう足掻いたって、おれはなぎちゃんの弟でしかないんだから」



