頼利さんが、烏龍茶の氷が溶けて水になったのをグッと飲み干して、わたしに流し目を向けた。
「それで、あのキザ男と別れた流れで、幼なじみとくっついたってわけか?」
「はい? わたし、俊くんと付き合ってなんかないですよ。昔から、全っ然、そういう対象じゃなくて。
そもそもわたしたちは恋愛の優先順位が低いって、さっき美香子先生と話すのを聞いてたでしょう?」
「いや、しかし……え、マジで違うのか?」
「違うって、何がです?」
「そいつ、あんたに惚れてるだろ」
頼利さんが親指で示す先にいるのは、当然というか、俊くんだ。
ビクンと体を震わせた俊くんは、白目がくっきりするほど目を丸く見張った。
無防備に驚いたときの顔がちっちゃいころの俊くんと同じで、わたしは思わず噴き出した。
「俊くん、何かかわいい」
「おい、先生、いい年した男に『かわいい』はねぇだろ」
「だって、いくつになっても、俊くんはわたしにとって弟みたいなものだから、頼もしい一方で、やっぱりかわいいんですよ」
「弟かよ。あんた、マジで言ってんのか?」
「マジも何も、事実です。わたしと俊くんは3つ離れてて、小さいころの3歳差って大きいでしょう?
まあ、大学に行ったわたしと違って、中学出てすぐ料理人の道を歩き始めた俊くんのほうが先に社会人になった感じはあるけど」



