「わー。美姫ちゃんの学校、綺麗!大きい!さすが私立だね!」

中等部の校舎を見上げた夢羽ちゃんが、ため息とともに感嘆の声をあげた。


「うっせーな、ユウ。でかい口開けて、バカかよ。恥ずかしいだろ」

「バカって何よ。うちの中学と全然違うから、感動してただけじゃん」

「お前ら、両方うるせぇよ」

うちの中等部に興奮する夢羽ちゃんを玲皇がバカにするように見下ろし、言い合うふたりをさらに理皇が冷めた目で制する。


そんな、見慣れた光景を横目にあたしら小さく苦笑いした。


土曜日。

あたしは仁織くんに誘われた中等部の文化祭に、弟ふたりとその幼なじみの夢羽ちゃんを引き連れてやってきていた。

本当はふーたんと一緒に来たかったんだけど、部活の練習試合があるとかで振られたのだ。

そんなときに、たまたま家の前で出会った夢羽ちゃんに声をかけたら、あたしの誘いに二つ返事で了解してくれて。

ふたりで行こうかなと思っていたのに、なぜか当日になっておまけがふたり着いてきた。