昇降口を出ると、校門の影からダークブラウンの髪がちらちらとときどき覗き見えていた。

校門の中に入ってこれない仁織くんは、あたしを待つとき、高等部の校舎の出入り口を気にして少しだけそわそわしている。


スプリンクラーのある公園でデートをしたあとから、仁織くんは週に数回高等部の校門前に現れてあたしを待つようになった。

携帯に連絡が来るときもあれば、予告なく待ってるときもある。

校門から出るとすぐにあたしに駆け寄ってくる仁織くんのことを、最初は高等部の生徒たちに好奇の目で見られてた。

その視線が嫌だったけど、何度か繰り返すうちに免疫ができてしまったのか、最近はそんなに嫌じゃない。

それどころか、校門の外で仁織くんが予告なく待っていると、嬉しくなる自分がいたりする。


「あ、今日は待ってるね」

並んで昇降口を出たふーたんが、校門の外の仁織くんに気付く。