目を伏せて赤くなるのは、今度はあたしの方だった。
そんなあたしに、仁織くんがさらに言葉を重ねてくる。
「それに、小学校高学年以上の男子なんて、美姫ちゃんが思ってる以上にエロいこといっぱい考えてるし」
「何それ」
「だから、美姫ちゃんが思ってるよりも子どもじゃないってこと」
年下のくせに、あたしのことを諭すみたいに大人ぶった口ぶりで話す仁織くんが可笑しかった。
「仁織くんも?」
冗談交じりに、やや視線をあげて覗き込むように彼を見る。
「そうだよ」
笑ってさらっと受け流してくれるかと思ったのに、ダークブラウンの彼の瞳が真っ直ぐに見つめ返してくるからドクッと胸が騒いだ。
「ここが昼間の公園じゃなかったら、俺だって変な気起こすかもだし」
小さく首を傾げた仁織くんの、クセのある柔らかな髪が揺れる。
さらりと横に流れた前髪が、額に影を作り、あたしを見つめる瞳の色が深まって濃くなる。



