Sweet Puppy Love



目を伏せたままの仁織くんの、耳たぶがちょっと赤い。


あ、そっか。

あたし、水に濡れてかなり下着透けちゃってたのか。

そんなことに反応して赤くなってくれるなんて。

中学生の男の子って可愛い。

母性本能をくすぐられるというのか。

何だかこそばゆい気持ちになって、クスッと小さな笑みがこぼれた。


「気にしてくれてありがとう。だけど、ほとんど小中学生以下の子どもでしょ。そんなこと気付いてないから大丈夫だよ」

そう言って笑い飛ばすと、仁織くんがちらりと視線をあげた。


「保護者で、大人の男の人もいる」

不服そうにあたしを見上げた彼が、低い声でぼやく。

彼のその反応に、あたしはまたクスッと笑ってしまった。


「でも、そんなの高校生になんて興味ないよ」

「わかんないよ?遠くからどんなやつが見てるかなんてわかんないじゃん。だって、美姫ちゃん可愛いし」

笑うあたしを不満そうに睨みながら、仁織くんがさらりとそんなことを言うからドキッとした。

そんなにさらりと「可愛い」とか言ってくれちゃって。

それは意図的?それとも無自覚?

どっちにしても、中学生のくせに。可愛い顔してさらっとそんなことを言えちゃうのはずるい。

うちの弟たちだったら、無自覚でもそんな気の利いたセリフ吐けないよ。