「何?あたし、変なこと言った?」
首を傾げると、仁織くんが拗ねた子どもみたいにプイッと顔を横に背けた。
「自覚ないなら、もっとずるい」
低い声でつぶやきながら、仁織くんが水路にふたつの水鉄砲をぶくぶくと沈める。
それからしばらくして振り返ったかと思うと、手にひとつずつ水鉄砲を持ってその銃口をあたしにまっすぐに向けてきた。
「言っとくけど、俺、絶対退かないから」
あたしを見つめるダークブラウンの瞳。
真剣な目をした仁織くんの顔から、ほんの一瞬少年っぽい幼さが消える。
その顔がなぜかあたしよりもずっと年上の男のひとように見えて、目が彼に釘付けになってしまう。
茫然としていると、顔と首に冷たいものが飛んできた。
「あ、ちょっと!冷たっ……」
「ボーッとしてるから」
手のひらで顔を拭って顔をしかめると、仁織くんが悪戯っぽい目であたしを見ていた。
クセのあるダークブラウンの髪をふわりと揺らしながら、彼が楽しそうに笑う。
その笑顔は、年相応の中学生の男の子の表情で。
真剣な目をしたさっきの彼とはまるで別人みたいだった。



