Sweet Puppy Love



「遊ぼう。水鉄砲、他にもあるよ」

仁織くんがスポーツバッグから、青と緑のプラスチック製の水鉄砲を取り出す。


「どっちにする?」

彼があたしに差し出してきたのは、よく見慣れた普通の引き金式の水鉄砲だ。

それを見て、あたしは不満げに顔をしかめた。


「どっちもやだ。仁織くんが持ってるやつのほうが威力強そうじゃない」

「あ、バレた?じゃぁ、フェアーになるように、これとこれ使おう」

仁織くんは長い筒状の水鉄砲を横に置くと、引き金式の水鉄砲をひとつあたしに向かって投げてきた。

ゆっくりと飛んできたそれを、落とさないように両手で受け止める。

そういえば、子どもの頃は家の庭でよく弟たちと水遊びしたな。

夢羽ちゃんと理皇と玲皇とあたし。

2対2でチームに分かれて、水鉄砲を使って戦いごっこみたいなゲームをしてた。

お互いに水を掛け合って、着替えないといけないくらいに服を濡らされちゃったほうのチームが負け。

ちょっと懐かしい。

あたしは逃げるのが得意だったから、弟たちも夢羽ちゃんもあたしと同じチームになりたがってくれて。

そのゲームのときだけは、なぜかあたしが人気者だったんだよね。