「アウトドアって、こういうこと?」
「そう。この公園うちから近くて、夏になるとよく兄貴と一緒に弟連れて来んの。あ、あのへんに荷物置こう」
仁織くんは川のように作られた水路のそばにできた木陰にスポーツバッグをストンと落とした。
「仁織くん、弟いるんだ?」
「そう。俺、男三人兄弟の真ん中」
仁織くんは笑いながらそう言うと、そこで初めて持っていたスポーツバッグのファスナーを開いた。
何が出てくるのかと興味深く見つめていると、長い筒状のおもちゃが出てくる。
水鉄砲……?
あたしに背を向けた仁織くんが、しゃがみながら水路に水鉄砲を突っ込む。
それを肩越しに覗こうとやや前のめりになったとき、仁織くんが急にこちらを振り返った。
と、同時に彼が構えた水鉄砲から放たれた水が額のあたりに勢いよく飛んでくる。
「……っぷ」
びっくりして目を閉じると、額に飛んできた水が雫になって目や鼻や頬に滴り落ちてきた。
「ちょっと!いきなりやめてよ」
目にかかる水を手の甲で拭いながら抗議の声をあげると、仁織くんがあたしを見上げてけらけら笑ってた。



