あたしがそんなことを考えている間に、仁織くんはどんどん歩を進めて行く。
駅前の大通りを渡ったあとは、戸建の家が立ち並ぶ住宅街の路地を右へ左へと進む。
バス停だったら、駅前の大通りにあったのに。
バスには乗らないのかな。
この住宅街の先には山も川もないし、キャンプができる場所なんてないと思うけど。
不思議に思っていると、駅から10分くらい歩いた頃にまた広い通りに出た。
少し進むと、さっきまで連なるように建っていた住宅が減り、広い駐車場が見えてくる。
それに隣接して、緑の芝生が広がる大きな自然公園があった。
「美姫ちゃん、着いたよ」
公園の入り口を指さすと、仁織くんがあたしを振り返ってにこりと笑う。
「でも、最終目的地はもっと奥」
そう言うと仁織くんは、軽やかな足取りで公園の中へと入っていった。
仁織くんのあとをついて公園の中を進んでいくと、奥のほうに人工的に作られた水路とスプリンクラーのある広場があった。
広場の中央には噴水の上がる浅い人工の池がある。
広場では主に幼稚園にもまだ通っていないくらいの小さい子から小学生くらいまでの子どもたちがたくさん水遊びをしに来ていた。



