「あと、ちょっと水に濡れても平気?あ、場合によってはかなり濡れちゃうかもだけど……」
黙っていると、仁織くんがさらに不安を煽るようなことを言ってきた。
水に濡れるってことは、川原に行くのかな。
でも、この近くに川原なんてあったっけ……
バスで移動するとか?
お金足りるかな。
ていうかあたし、サイフと携帯とポーチしか持ってないけど大丈夫?
「美姫ちゃん、行こう」
いろいろ考えていると、仁織くんが笑顔であたしを促した。
軽やかな足取りで前を歩く彼の後を、やや不安な面持ちでついていく。
「今日、いいお天気でよかった。雨降ったら、計画が練り直しだったから」
仁織くんがあたしを振り返りながら嬉しそうに笑う。
確かに。雨だったらデイキャンプはできないもんね……
だけど仁織くん、キャンプ場で火をおこしたり飯盒焚いたりできるのかな。
あんまりそんなイメージないけど。
スポーツバッグを持つ華奢な腕をぼんやり見つめる。



