Sweet Puppy Love



その日の放課後、仁織くんは校門の前にはいなかった。


「今日は来てないね、忠犬ジャノンボーイ」

ふーたんの言葉を流し聞きながら、なぜかちょっと寂しい気持ちで彼のいない校門を通り抜ける。

今日は絶対待っていると思ってた。

昨日永尾先輩から助けてもらったとき、『お詫びに土曜日にデートして』と言われたけど、具体的な待ち合わせ場所とか時間は決められてなかったから。

仁織くんがデートに誘ってきた土曜日は明日。

今日待っていなかったってことは、デートの誘いのことは忘れちゃったのかな。


なんだ。

永尾先輩から助けてくれたときの仁織くんの姿にすごく感動したのに。

結構いいかげん。

なんだかもやもやした気持ちを抱えながら家に帰る。

家に帰ってもそのもやもやは消えなくて、なんとなく憂鬱な気分のまま夕飯を食べてお風呂に入った。

お風呂から出たあと部屋でぼーっとしていると、突然携帯に知らない番号からの着信があった。


「もしもし」

数秒迷った末に、電話に出てみる。