Sweet Puppy Love



「その話、脚色されすぎてるよ……」

仁織くんは『俺のオンナに手を出すな』とかそんなことは言ってない。

ただ、しつこい永尾先輩の告白に困ってたあたしを「彼氏」だと偽って助けてくれただけ。

でも、そのあとに言ってくれた彼の言葉は本物だった。

あたしより3つ年下なだけ。あと2年もすれば高校生。

本気であたしのことが「好き」だって。

身長なんて、永尾先輩に完全に負けちゃってるのに。

あたしを庇ってくれた仁織くんの背中も、あたしのために言ってくれた言葉もかっこよかった。

それを、変なふうに脚色されたくない。

キュッと口を閉ざすと、ふーたんがあたしの肩を軽く叩きながら笑った。


「でも、噂に近いことは永尾先輩に向かって言ったんでしょ?」

「ちっとも近くないよ」

不機嫌な声を出すと、ふーたんが不思議そうに首を傾げた。


「どうしたの?何か怒ってる?」

「別に。それより、あたしが永尾先輩に連れてかれるところ、ふーたんも見てたんでしょ?仁織くんが、ふーたんに教えてもらったって言ってた」