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翌朝学校に行くと、やたらとニヤニヤ笑うふーたんがあたしを出迎えた。
「美姫、おめでとう!」
開口一番そう言われて、意味がわからず首をかしげる。
「ついにジャノンボーイと付き合いだしたんでしょ?」
「は?何の話?」
「またまた、とぼけちゃって。美姫が体育祭委員長の永尾先輩を振って、中学生と付き合いだしたって朝からもっぱらの噂だよ?」
ふーたんがからかうように肘であたしの腕を小突いてくる。
「何なの、その噂。いったい誰がそんなこと……」
「発信源が誰かはわからないけど、永尾先輩のことが好きな女子の誰からしいよ。美姫が永尾先輩に連れてかれるのを見て後付けてこっそり話を聞いてたんだって。美姫が永尾先輩の告白断ったらジャノンボーイが現れて『年下で悪いか。俺のオンナに手を出すんじゃねぇー』って言ったんでしょ?可愛い顔してやるねー」
ふーたんから聞かされた噂の内容に、思わず震えが走る。



