今仁織くんの前に出て行ったら、彼はあたしに告白の返事を求めてくるのかな。

そうしたら、あたしはなんて答えよう。

彼の告白を全面的に受け入れるつもりなんてないのに、きっぱり断ってしまうのは躊躇われる。

自分の中にそんな気持ちが僅かながらも存在することに気が付いた。


何考えてるんだろう、あたし。

仁織くんは、理皇や玲皇と同い年の中学生なのに。

立ち止まって、ぶんっと激しく頭を横に振る。

このままうっかり仁織くんの前に出て行くと、間違えて変な判断を下してしまいそうな気がした。


今日は仁織くんとは顔を合わせないほうがいい。

せっかく待ってくれてるのに可哀想だけど、彼を避けるためにくるりと踵を返す。

裏門に回って、そっちから帰ろう。