「あ、にっちゃんといえば。小5のクラスで割と女の子に人気だったんだよ。あたしの友達にも好きって言ってる子いたんだよね」

「へぇー」

夢羽ちゃんがそう言った瞬間、理皇と玲皇が同時に口を開いた。

感情のこもらない、ふたりの若干高低差のある声が綺麗にハモる。


「ちょっと背は小さめだったけど、男の子なのに目とかおっきくて、かわいい感じだった気がする」

いろいろ記憶が蘇ってきたらしい夢羽ちゃんが、楽しそうに仁織くんの思い出話を始めた。


「にっちゃんがよくリオとレオの家に遊びに来てるって言ったら、その友達に手紙書くから渡してって頼まれたりして……」

盛り上がる夢羽ちゃんに対して、理皇と玲皇を取り囲む空気がだんだん刺々しくなっていく。

それを感じているのは、たぶんあたしだけなんだけど。


ひとりで話し続ける夢羽ちゃんを、冷めた目で睨む理皇と明らかに不機嫌そうに舌打ちしてる玲皇。