「あ、えーっと……最近うちの学校の中等部にいる仁織くんと話す機会があって……そのときに、昔はこのへんの小学校に通ってたって言ってたから」
別に何もやましいことなんてないのに、夢羽ちゃんに仁織くんのことを訊かれて妙に焦った。
ちょっとした知り合いなだけ。
そんなふうを装うけど、告白されたこととか、彼氏候補宣言されてることとか、幼さの残るかわいい雰囲気の笑顔とか……
そういうのがごちゃ混ぜになって頭の中をぐるぐる回る。
どうしたんだろう、あたしってば。
理皇や玲皇と同い年の男の子を変に意識してしまってる。
「へぇ。にっちゃん、美姫ちゃんの学校の中等部に行ってるんですね。頭いいんだ」
自分が変な態度をとっていないか気になったけど、にこにこ笑う夢羽ちゃんはあたしに対して何の違和感も感じていないみたいだった。
よかった……
ほっと胸を撫で下ろしていると、夢羽ちゃんが何か思い出したようににたりと笑う。



