「何でユウがそんな詳しく覚えてんだよ」
ひとりで熱くなるあたしの隣から理皇の冷めた声が聞こえてくる。
かと思えば、理皇と夢羽ちゃんのケンカになりきらないような言い合いが始まった。
「何でだろ。名前が珍しかったから?あと、このうちから出てくるとこよく見たからかなー?」
「ふーん」
「リオのほうこそ、割と仲良さそうだったのに忘れるとか薄情ー」
「そんな昔のこと言われても知るかよ」
「そんな昔でもないと思うけど」
理皇がなんだか面白くなさそうに夢羽ちゃんから視線を外した。
この頃、理皇も玲皇も夢羽ちゃんに対する態度がやたらエラそうだし素っ気なさすぎる気がする。
昔はもっと「ユウちゃん、ユウちゃん」てベタベタしてたくせに。
姉としては弟たちの態度に呆れてしまうけど、夢羽ちゃんはそんなの全く気にも留めていないらしい。
「だけど、どうして美姫ちゃんがにっちゃんのこと知ってるんですか?」
にこにこしながら、夢羽ちゃんがあたしにそう訊ねてきた。



