気付いたらあたしは、無意識で弟たちと仁織くんを比べていた。
あまり認めたくはないけれど、この頃ふとした瞬間に彼のことを思い出すことが増えたような気がする。
どうしてだろう。
彼と同い年の弟たちや夢羽ちゃんと接しているからかな。
そういえば、仁織くんは一時期弟たちと同じ小学校に通っていたんだっけ。
「ねぇ、理皇、玲皇。真野 仁織って子知ってる?」
ついそんなことを訊ねてしまったあたしは、もしかしたら思っている以上に仁織のことが気になってるのかもしれない。
あたしが初恋だ、なんて言ってきた仁織くんとのそもそもの接点は弟たちだったみたいだから。
彼がどんな子なのか、もう少し知りたいと思った。
「真野 仁織?」
「誰それ?」
だけど、質問に対する弟たちの答えはあたしが望んだものとは違ってた。
お互いに顔を見合わせて首を傾げる弟たちは、本当に仁織くんの名前に覚えがなさそうだ。
あれ……
あたし、ひょっとして嘘つかれた?
小学生のときにうちには来たことがあるとか、あたしが初恋だとか。
あたしの心を揺さぶったあの言葉たちは、ひょっとして作り話……?
理皇と玲皇の反応の薄さに、ふとそんな疑念が湧いてくる。
もともと、ストーカー疑惑があったし。



