「ひさしぶりだねー、夢羽ちゃん」
夢羽ちゃんの前を陣取ってた弟の理皇を押しのけるようにして彼女の前に座る。
夢羽ちゃんの真向かいのポジションを奪われた理皇が、不快そうにあからさまに眉を顰めた。
「押すなよ」
隣からぼそりと低い声が聞こえてきたけど、無視しておはぎに手を伸ばす。
やっぱり瑶子さんのおはぎはやっぱり変わらず美味しくて、ひとつでは止められずふたつめに手を伸ばしてしまう。
ケラケラと笑いながら雑談している夢羽ちゃんや弟たちをよそに、ひとりでおはぎに夢中になっていたら、不意に夢羽ちゃんに名前を呼ばれた。
「美姫ちゃん、高校生になってからますます綺麗になったよね」
人目もはばからずおはぎをバクバク食べていたのに、夢羽ちゃんが急にそんなふうに褒めてくるからおはぎを喉に詰まらせそうになった。
「ど、どうしたの?急に」
「特に意味はないけど、ふと思って。彼氏とかいるんですか?」
夢羽ちゃんはそう言うと、あたしのことをキラキラとした目で見つめた。



