「あー、それは……」
アイスのコーンを半分以上食べ終わった仁織くんが、恥ずかしそうに目を伏せる。
「実は理皇の家に遊びに行ったときに、リビングに出てきて挨拶してくれた美姫ちゃんに俺がひとめぼれしちゃって……それで、理皇と玲皇に美姫ちゃんのことちょっと聞いたから」
「は……?」
コーンだけになったイチゴ味のアイスを、思わずテーブルにひっくり返しそうになる。
「おはぎが好きとか、朝は和食で梅干しと味噌がないとダメとか……あの話、弟たちから聞いたの?」
「うん。たちっていうか……面白がって美姫ちゃんのこと、ちょっと面白おかしく教えてくれたのはどっちかっていうと玲皇だったけど」
呆然とするあたしに、仁織くんがにこりと笑いかけながら、双子の下の弟の方の名前を口にした。
やけにあたしの食べ物の好みに詳しいから、おかしいと思ったんだ。
あいつら……じゃなくて、主に玲皇か。
あたしの個人情報をベラベラ喋ってくれちゃって。



